器(どんぶりのみ):杉江保枝

FILE.10

DATE:
2004.11.12

『白身魚の昆布〆丼』

●白身の昆布〆はさん生の大好物。さん生の故郷富山では、ごく一般的に日常から食されているものです。作り方はそれほど難しいものではなく、単純に刺身を昆布で挟むだけ。ちょっと奮発して刺身を夕餉の食卓に並べたけど余っちゃった、なんて時にこの方法を知っていると、翌朝また違った美味しさが味わえるという寸法です。さん生家では、あらかじめ夜の刺身、朝の昆布〆、と分けて両方作ります。というのも刺身が余った試しがないので。また昆布〆は酒のつまみにも最高。昼頃仕込んでおけば夜にはちょうど美味しく食べられますので、お客様がいらっしゃる日などにお勧めです。丼にするときは、ご飯にレモン果汁を用いてさわやかに。わさび醤油をかけ回していただくのが普通ですが、柚子こしょうとお醤油でも美味しく召し上がれます。
用意するもの(概略)
  • 白身魚刺身用(鯛、ヒラメ、スズキ等お好みで。今回はアイナメを使用)
  • 昆布(板状のものが使い良いが、ある程度の大きさに広がるものなら普通のダシ昆布でも十分使える)
  • 白飯
  • レモン汁
  • ゴマ
  • 小ネギ
  • もみ海苔
  • 三つ葉
  • わさび、柚子こしょう等

一口メモ

●昆布〆に用いる魚は白身が多いようですが、基本的にはどんな魚でもOKです。今回はアイナメでしたが、普段は鯛やヒラメを多く使います。スズキのように身の柔らかい魚も、昆布でしめると身が引き締まってまた違った美味しさが味わえます。また、季節によってごくまれに出回るカジキの刺身はお勧め。やや脂身が強く、そのままではちょっと敬遠したい味ですが、昆布〆にするとこれがことのほか美味。ぜひ一度試してください。

作り方
  1. 白身は薄切りに。すでにお造りになっているものはそのままでもよいが、出来ればさくで買い求めて、通常のお造りよりやや薄めに切った方が美味しい。
  2. 昆布は刺身が乗る大きさに広げ、水で薄めたお酢か日本酒で軽く汚れを拭き取る。
  3. 2の昆布に1の刺身をびっしり並べ、上から同じ大きさの昆布を重ねる。重ねた昆布の上にさらに刺身を敷き詰め、昆布を重ねる作業を繰り返す。二重三重のサンドイッチ状態になる。最後は昆布を重ねてラップで包む。このとき、空気が入らないようぴっちりと包むのがコツ。
  4. 3を冷蔵庫で6〜8時間置く。時間は好みで。時間がたてばたつほど昆布の味が強くなる。(長時間置く場合は、あらかじめ身をやや厚く切っておくと良い)
  5. 白飯は温かいうちに軽くレモン汁をかけ回し、ゴマと小ネギを加えてよく混ぜる。
  6. 5を丼に盛り、もみ海苔を敷いた上に、昆布からはずした4の昆布〆を並べる。
  7. 細かく切った三つ葉を飾る。
  8. わさび醤油や、柚子こしょうでいただく。

一口メモPart2

●今回は昆布〆を丼ものに仕立てましたが、もちろんそのまま食べても結構です。とても素晴らしい酒のつまみになります。思わず吟醸酒をきゅうっとやりたくなる味です。また、昆布でしめる際、魚の上に針ショウガや山椒の葉をのせておくと、薫り高い一品に仕上がります。

●ご飯はすし飯でも良いのですが、レモン果汁を使うことで、さわやかな味に仕上がります。また今回はどのご家庭にも常備してありそうなもの、ということでレモンにしましたが、一番お勧めなのはカボスです。酸味とほのかな甘みがご飯にはベストマッチ。他にスダチなどを使っても良いかも知れません。

さん生さんちの台所TOPへ  今週のおもてなし料理を見る  料理ファイル一覧を見る