器(中央):杉江保枝

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DATE:
2005.02.18

『蕗味噌』

●ふきのとうが出回る季節になりました。天ぷらもいいけれど、酒飲みには何といってもこれが一番。蕗独特の苦味と味噌の風味が何とも言えず美味です。もちろんご飯のおかずとしても重宝な一品。夜は酒の肴に、一夜明ければ朝食の膳に、春の香りが彩りを添えます。蕗味噌というと、市販されているものを召し上がる方が多いようですが、香りの点ではやはり手作りにはかないません。また市販のものは甘口が多く、舌にもたれる場合が往々にしてあるもの。保存料は使用していなくても、人工的な調味料や酸味料が入っている点も気になります。素材に対する安心感も含めて、ぜひご家庭で手作りされることをお勧めします。
用意するもの(概略)
  • ふきのとう2パック(約180g)
  • 砂糖大さじ2
  • みりん大さじ2
  • だし汁大さじ4
  • 味噌120g
  • ごま油適宜

一口メモ

●ふきのとうはあくが強く、刻んだ後から変色してゆきます。調理の際はとにかく手早く。刻んだらすぐに炒めるようにしましょう。またふきのとうを湯がいて使う方がいらっしゃいますが、香りを大切にするならそのまま炒めて使いましょう。湯がけば確かに上品に仕上がりますが、何となく間の抜けた味になってしまいます。なおあまり細かく刻むと風味が損なわれます。刻むときはやや粗めにするのが美味しく作るコツです。市販の味に近づけたいなら砂糖を多めに。今回のレシピでも多少多めに設定していますが、これはお好みで調節してください。

作り方
  1. ふきのとうはざっと洗い、痛んでいるところと汚れを取り除いてから荒く刻む。
  2. 熱した鍋にごま油を敷き、1のふきのとうを炒める。
  3. ふきのとうにざっと火が入ったら、砂糖大さじ2を加えてさらに炒め、続いてだし汁、みりんを加えよく混ぜる。
  4. 全体がよく混ざったら味噌120gを入れ、弱火に落として、木じゃくしを使ってじっくり練り上げてゆく。
  5. 全体に照りが出て、木じゃくしで中身を寄せたとき鍋底が見えるようになったら出来上がり。

※調味料の分量は、お使いの製品によって塩分や甘みに相当違いがありますので、ご家庭でお使いのものに合わせて調節してください。表示してある分量はあくまでも目安です。

一口メモPart2

●この一品だけでもご飯が進み、酒が進みます。味噌と砂糖を使用しているので日持ちもしますので、ちょっと多めに作っておくと毎日楽しみです。箸の先にちょっとつまんで口に含み、日本酒を飲むのは最高の贅沢。一足早い春の訪れ。よく「旬のものを食べろ」といいますが、これなどまさに旬のもの。その季節に採れたものを、その季節に食するのは人間の生理にもかなっているのです。また苦味が苦手という方が案外多いようですが、野草や山菜など苦味の強い野菜は胃腸の調子を整える働きがあります。繊維質も豊富ですから、ぜひこの季節に、この季節にしか食べられないこうした食べ物を召し上がってください。

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