器:杉江保枝

FILE37

DATE:
2005.05.20

『牛もも肉のピクルス』

●牛もも肉をローストしてピクルス液に漬け、爽やかな前菜に仕立てました。牛肉のピクルスなんてちょっと想像しにくい感じですが、実は酢で締める料理はしめさばなどで家庭でもお馴染み。その牛肉版と考えて、酢〆なら魚というイメージを払拭してみてください。脂分の少ないもも肉は、調理の仕方によってはかたさが気になるものですが、酢に漬けることで肉がとても軟らかくなり、また風味も増すようです。切り口が空気に触れると美しいピンク色に変わるので、視覚的にも楽しい料理です。粒マスタードをつけてどうぞ。またわさびで食べると和風の趣が。寿司飯で握りにしてもいいでしょう。サラダや和え物にも使えて、レパートリーが増えるのも嬉しいところ。ほのかな酸味が食欲をそそり、お酒も一段と進みます。

用意するもの(概略)
  • 牛もも肉かたまりローストビーフ・たたき用400g
  • 塩大さじ1
  • 胡椒少々
  • オリーブオイル
  • 米酢1.5カップ
  • ダシ汁または水1カップ
  • レモン果汁または果実酢1/2カップ
  • ニンニク1かけ
  • 粒胡椒小さじ3
  • ハチミツ小さじ3
  • いけ合わせ用のプチトマト、水菜など(つけ合わせのドレッシングは一口メモPart2を参照)

一口メモ

●牛肉のローストの仕方は、以前紹介したお手軽ローストビーフとほぼ同様ですが、今回は人参や玉ネギなどの野菜は使っていません。塩大さじ1というのは少々多すぎるように感じられますが、焼いてる課程と酢漬けにする課程でかなり落ちてしまいますし、しっかり塩をつけておかないと、酢漬けとしての風味が今ひとつになってしまいます。ピクルス液には米酢とだし汁、レモン汁を使用し、香りづけにニンニクと粒胡椒、さらに隠し味にハチミツを入れてあります。ローリエやハーブなどを加えると一段と華やかな味になります。このピクルス液、野菜のピクルスにも流用できます。だし汁を入れるのはさん生家風。水でも十分美味しいのですが、だしを入れることで味に幅が出ます。面倒ならピクルス液を煮立てる際に、昆布を一片入れておくといいでしょう。ただし、漬ける際は取り除いて。ねばりが出てしまいます。

作り方
  1. 牛もも肉は大さじ1の塩と胡椒少々をよくすり込み10分ほどおく。
  2. フライパンを熱してオリーブオイルを引き、1の肉をローストする。最初に片面を中火で4分フタをして焼き、裏に返してさらに4分中火でフタをして焼き、火を止めて4分おく。竹串を刺して唇に当てて、暖かかったら火が通っている証拠なので、キッチンペーパーを敷いたバットなどに取り、余分な油を抜いておく。
  3. ニンニクは二つ割りにして芯を取り、包丁の腹を使ってまな板でつぶして香りを出しておく。
  4. 鍋に米酢1.5カップ、だし汁(カツオだし)または水1カップ、レモン果汁または果実酢1/2カップ、3のニンニク、粒胡椒小さじ3、ハチミツ小さじ3を入れ、中火でゆっくりと火を入れる。沸騰してきたら火を止め、あら熱を取る。
  5. 保存容器にあら熱を取った4のピクルス液を入れ、2の肉を浸す。時々裏返しながら半日から1日冷蔵庫で保存する。
  6. 漬けあがった肉はピクルス液から出してラップなどに包んで保存。冷蔵庫で3〜4日保存が利く。食べるときは薄切りにし、粒マスタードなどを添えていただく。つけ合わせにプチトマトや野菜を添えても良い。

※調味料の分量は、お使いの製品によって塩分や甘みに相当違いがありますので、ご家庭でお使いのものに合わせて調節してください。表示してある分量はあくまでも目安です。

一口メモPart2

●つけ合わせの野菜には、牛肉のピクルスにも合うドレッシングをかけてみました。材料と分量は粒マスタード小さじ3にオリーブオイル大さじ1、米酢大さじ1、レモン汁大さじ1/2、塩小さじ1,ハチミツ小さじ2です。これらを小さめのボールに入れて混ぜ合わせれば出来上がり。泡立て器などで一生懸命混ぜる必要はありません。スプーンでかき回すだけで十分です。牛もも肉のピクルスを千切りにして、水菜やベビーリーフ、トマトなどの野菜と合わせ、このドレッシングで和えれば美味しいサラダになります。こちらもどうぞお試しください。

●牛もも肉のピクルスには粒マスタードやわさびが合います。柚子こしょうなども試してみましたが、明らかに粒マスタードとわさびの勝ち。洋風なら粒マスタード、和風ならわさびと言ったようにお好みでどうぞ。また、肉を千切りにして、茹でたほうれん草と合わせ、わさび醤油で和えればちょっとした和風の和え物が出来上がります。ピクルス液にだし汁を使った分、和風の味に合うようです。この他とても応用範囲の広い料理なので、いろいろと試してみてください。もちろんそのまま食べても美味しいのは言うまでもありません。ワインから日本酒まで、お酒の種類も選ばない、重宝な料理です。ぜひぜひ一度味わってみてください。

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