器:杉江保枝

FILE39

DATE:
2005.06.03

『肉とごぼうのテリーヌ』

●フレンチのお馴染みメニュー、田舎風テリーヌをさん生家風にアレンジ。ごぼうを入れてさっぱりヘルシーなご馳走に仕上げました。テリーヌというと難しそうに感じられますが、要は材料を混ぜ合わせてオーブンで蒸し焼きにするだけ、と考えればそう難しくもありません。ただ今回面倒なのは鶏レバーの下処理。実はさん生家では夫婦揃ってレバーがあまり得意ではありません。レバーの生臭みを取り除いて風味だけを生かすために、血抜きや下処理にかなり時間をかけています。ごぼうを入れたのもレバー臭さを軽減する目的でしたが、これがレバーはもちろん、牛豚の合い挽き肉、鶏のもも肉といった材料とよく合い、また歯ごたえも楽しめて、なかなか面白い味になりました。前の晩に作って冷やしておけば、翌日の午後から夜にかけて味が乗ってきてちょうど食べ頃になります。週末に調理して、休日のご馳走にぜひどうぞ。

用意するもの(概略・18センチのパウンド型2台分)
  • 鶏レバー250g(ハツや余分な脂肪を取り除いた状態なら約180g)
  • 鶏もも肉1枚(皮や余分な脂肪を取り除いて約270g)
  • 合挽き肉(牛・豚)250~300g
  • ベーコン200g
  • ごぼう1/2本
  • 玉子1個
  • 牛乳大さじ1.5
  • ニンニク1かけ
  • 鶏レバーの下味用に塩・胡椒適宜とオリーブオイル
  • 鶏もも肉の下味用に塩・胡椒適宜
  • ローリエ10枚
  • 粗挽き胡椒小さじ約1〜1,5
  • 塩小さじ1

一口メモ

●レバーが不得手なさん生家では、二段、三段構えで臭みを取っています。牛乳の代わりにブランデーや赤ワインを用いても構いません。また、一度湯がいていますが、面倒ならこの課程は省略しても良いでしょう。ただ、レバーの生臭さはレバー自体にあると言うよりは、内部にたまった血や余分な脂肪、余分な筋などにあるようです。流水で血抜きをする際に、これらをしつこく取り除き、さらに湯がくことで取り除けなかった雑物が外へ出てきますので、レバーが苦手な方は、血抜き、湯通し、水洗い、そして炒める、というこれでもかの下処理をおすすめします。ちなみにこれだけの処理をしてもレバーの風味は全くそこなわれず、臭みだけが抜けて旨みはちゃんと残っていますのでご安心ください。

●今回はシンプルに肉を味わいたかったので、香辛料をあまり使いませんでした。その代わり胡椒は粗挽きをたっぷり。もちろんナツメグなど、お好みのスパイスを入れても美味しく出来上がります。ハーブを混ぜ込むのもいいでしょう。いろいろとアレンジして楽しんでください。

作り方
  1. 鶏レバーはハツや余分な脂肪を取り除いた後、一口大に切り分け、流水で1時間ほど血抜きをする。途中、何度か全体の水をかえ、余分な脂肪や血が浮いてきたら丁寧に取り除く。
  2. 血抜きの済んだ鶏レバーはキッチンペーパーなどで水分を取り、ボウルに入れて、臭みを取り除くために牛乳大さじ1.5を振りかけて10分おく。
  3. 鍋に湯を沸かし、2のレバーを軽く湯通しする。湯の表面にあくが浮いてきたら穴じゃくしですくい上げ、冷水に取り、流水で丁寧にレバーの表面についたあくを洗い流し、再びキッチンペーパーなどで水分を取る。
  4. ニンニク1かけはみじん切りにする。
  5. フライパンにオリーブオイルを引き、4のニンニクを炒めた後、3のレバーを軽く炒め、塩・胡椒をした後、バットなどに広げてあら熱を取る。
  6. ごぼうは粗みじんに切り、酢水につけてあくを抜く。あくが抜けたら水洗いして酢の匂いを取り除き、キッチンペーパーなどで水分を取っておく。
  7. 鶏もも肉は皮と余分な脂肪を取り除き、小指の先ほどの大きさに細かく切った後、包丁で叩いてさらに細かくしながら粘りを出す。あまり叩くと挽肉になってしまうので注意。肉の大きさはまちまちでもよいが、全体としては粗みじんより大きめに。ボールに入れて軽く塩・胡椒をして全体に揉み込んでおく。
  8. 5のレバーをフードカッターなどを使ってペースト状にする。ペースト状になったレバーをボールに入れ、合い挽き肉と玉子1個、粗挽き胡椒小さじ1〜1.5、塩小さじ1を加えて粘りが出るまで手でよく混ぜる。さらに7の鶏もも肉を加えて全体を混ぜ、最後にごぼうを加えてタネを作る。
  9. パウンド型にオーブンペーパーを敷き、全体を包めるようにベーコンを敷き詰める。敷き詰めたベーコンの上にタネを入れてゆくが、入れるときはハンバーグを作るような要領で掌にたたきつけてはタネから空気を抜き、丸いまま3個くらいに分けて並べてゆく。最後に全体をぎゅっと押し詰め、ベーコンを上からかぶせてさらに押し詰める。
  10. ベーコンの上にローリエを並べ、パウンド型にアルミホイルをかぶせ、180℃のオーブンで湯煎にして1時間半ほど焼く。途中で湯がなくならないよう注意する。ベーコンの上から竹串を突き刺して、透明な汁が出てくるようなら十分に焼き上がっている証拠。オーブンから取り出して熱を取り、冷蔵庫で十分に冷やして出来上がり。

※調味料の分量は、お使いの製品によって塩分や甘みに相当違いがありますので、ご家庭でお使いのものに合わせて調節してください。表示してある分量はあくまでも目安です。

一口メモPart2

●このテリーヌは材料の分量によって、味がさまざまに変化します。家庭料理ですから、その時々で手に入る材料を使って作っているので、お店のように安定した味にはなかなかなりません。もっともそこが家庭料理の良いところではないでしょうか。味の決め手は合い挽き肉の分量に左右されるようです。合い挽き肉を少なめにすると、もう少しピンクがかった出来映えになり、これはこれで上品なお味ですが、肉類の好きな人には物足りないかもしれません。また、ごぼうをたくさん入れるとさっぱりした味になりますが、肉とケンカになってもいけませんので、バランスをよく考えて入れた方が良いでしょう。塩小さじ1は多すぎるように思えますが、これでも出来上がりは薄く感じるかもしれません。ややきつめに塩をした方がしゃっきりした味わいになります。味が物足りないときは、粒マスタードなどをつけて召し上がってください。

※このレシピは『柳家さん生公式サイト・さん生さんちの台所』の中にある、「今週のおもてなし料理」のコーナーで紹介された料理を詳しく紹介したものです。無断転載などはかたくお断りいたします。ご意見、ご希望、ご質問などがございましたら、メールにてお知らせください。(調理とレシピ=杉江保枝)
さん生さんちの台所TOPへ  今週のおもてなし料理を見る  料理ファイル一覧を見る