器:杉江保枝

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DATE:
2005.07.22

『うざく』

●土用に入り暑い日が続いています。土用と言えばやはり鰻。スーパーでは丑の日に備えて早くも鰻商戦が華やかです。最近ではお安い中国産が数多く出回るようになりましたが、好みの問題はあるものの、脂ののりすぎた中国産をしつこいと敬遠する向きも少なくないのでは? そこでお勧めしたいのが酢の物にして食べる方法。酢の物にすれば脂っこさは随分と軽減できますし、酢のさっぱりした口当たりが暑い夏にはぴったり。鰻屋さんのうざくの鰻にはたれは付いていませんが、たれのついた蒲焼きを使っても美味しく仕上がりますし、たれの甘味と酢の酸味、塩っ気が何とも程良くマッチして、家庭のおかずとして食べるならむしろこちらの方が美味ではと思えるほど。ダシを利かせた合わせ酢にたれの付いた蒲焼きを浸し、薄切りにしたきゅうりと共に食べれば、何とも言えぬ旨みが口中に広がります。思いの外お手軽な料理ですので、ぜひ一度お試しください。

用意するもの(概略)
  • 鰻の長焼き(蒲焼き)1/2枚
  • きゅうり1本
  • 塩少々
  • 米酢60cc
  • だし汁60cc
  • 塩小さじ1(合わせ酢用)

一口メモ

●夏場、一度食べると結構病みつきになる料理です。甘味と酸味と塩味の組み合わせが何とも言えず五感をくすぐり、そこにさらにだしの旨味が入るわけですから、美味しくないわけがありません。酢の物というと冷たいイメージがあるので、温かい鰻を使うのは不思議なような気がしますが、一度温めることで鰻が柔らかくなり、また、余分な油やたれが落ちて程良い味になりますので、この手順は必須です。鰻はどんなものでもOK。酢の物にするので、多少油がきついものでも大丈夫です。

作り方
  1. きゅうりは全体に塩をまぶして板ずりしへたを取り、縦半分に割ったのち、半月の薄切りにする。
  2. 1のきゅうりを再び塩少々で軽くもみ、水にさらす。さらす水にも塩小さじ1/2程度を加えてよくかき混ぜ、きゅうりがしんなりするまでさらしておく。
  3. 合わせ酢を作る。材料(酢60cc、だし汁60cc、塩小さじ1)を全てボールに入れて、塩がとけるまでよく混ぜる。
  4. 鰻は電子レンジで1〜1分半ほど温め、食べやすい大きさに切り分けて器に盛りつける。
  5. 2のきゅうりは良く絞って水気を切り、4の鰻の傍らにこんもりと形良く盛りつける。
  6. 器の縁から3の合わせ酢を静かに注ぎ込み、出来上がり。

※調味料の分量は、お使いの製品によって塩分や甘みに相当違いがありますので、ご家庭でお使いのものに合わせて調節してください。表示してある分量はあくまでも目安です。

一口メモPart2

●きゅうりを塩もみし、さらに塩水につけたらしょっぱくなるのでは? と思われるかもしれませんが、そんなことはありません。薄切りにしたきゅうりをしんなりさせるためにはこの塩が以外と重要。水気を絞ってみれば一目瞭然、いかにも料理屋さん風のきゅうりになっているはずです。きゅうりは一見脇役のようですが、この料理にはなくてはならない第二の主役。下ごしらえはおろそかにせずに、作ってみてください。きゅうりと鰻と合わせ酢のマッチング、見事ですよ。

※このレシピは『柳家さん生公式サイト・さん生さんちの台所』の中にある、「今週のおもてなし料理」のコーナーで紹介された料理を詳しく紹介したものです。無断転載などはかたくお断りいたします。ご意見、ご希望、ご質問などがございましたら、メールにてお知らせください。(調理とレシピ=杉江保枝)
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