器:杉江保枝

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DATE:
2005.08.19

『枝豆のすり流し』

●枝豆の美味しい季節です。枝豆というとゆでたてをビールで、というのが定番ですが、たまには料亭風にすり流しにしてみてはいかがでしょうか。すり流しとは材料をすりつぶし、だしで溶いて汁に仕上げたもの。香り高い枝豆の味とだしの風味が何とも上品な一品です。豆をさやから出すのがちょっぴり面倒ですが、ひとつひとつ丁寧に作業をすることで、出来上がった料理がとてもいとおしくなります。出来上がったら冷蔵庫で冷たく冷やしていただきます。同じく冷たく冷やした白玉を浮かべて召し上がれ。蒸し暑い中に一点の涼を呼ぶ、夏ならではの料理です。

用意するもの(3〜4人分・概略)
  • 枝豆・茹でた状態で約400g(さやから出した状態で約120g)
  • ダシ400cc
  • 塩少々
  • 片栗粉小さじ2
  • 白玉粉約120g
  • 水約100cc

一口メモ

●枝豆をさやから出すのは面倒ですが、そのあとはミキサーやフードプロセッサですりつぶしてだしで煮るだけですから、さほど難しくはありません。味の決め手はいわずとしれただし汁。だしは鰹節を使ってていねいに取りましょう。顆粒の天然だしを用いる場合は、なるべくかつおのみ使用したものを。じゃこや煮干しが入っていると生臭くなり、上品さが失われ、枝豆の風味が台無しになってしまいます。最後に加える塩の分量はお好みですが、だしがしっかり取ってあれば、それほどの塩味は必要としないでしょう。枝豆の味を引き立てるつもりで、少量の塩で味付けしてください。また、枝豆自体が塩ゆでしてあり、塩味をつけてあるばあいがありますので、その点も十分加味しながら味付けを心がけてください。

作り方
  1. 枝豆は茹でたものを用意しさやから出しておく。豆の表面に薄皮がついているようなら、それも丁寧にはがすと仕上がりがきれいになる。
  2. 1の枝豆をフードプロセッサーかミキサーにかけてすりつぶす。枝豆だけではぱさついてすりつぶすのに限界があるので、だし400ccのうち100ccを、二回に分けて加え、全体に滑らかになるまで丁寧にすりつぶす。
  3. 小鍋に2と残りのだし汁を入れ、弱火にかける。枝豆に火が通り、全体にとろりとなるまで、木べらで焦げ付かないよう時々かき回しながら、丁寧に火を入れる。仕上げに塩少々で味付けし、同量の水で溶いた片栗粉で3にとろみをつける。
  4. 3のあら熱が取れたら、保存容器に移し、冷蔵庫で半日ほどよく冷やす。
  5. 白玉粉120gは水約100ccで溶き、耳たぶぐらいの柔らかさにこねる。
  6. 鍋に湯を沸かし、5の白玉を小さな団子状にして中央を凹ませ茹で上げる。一度沈んだ白玉が浮いてきたら穴じゃくしですくい、氷水に取って冷やす。
  7. よく冷えたすり流しを器に盛りつけ、白玉を浮かべて出来上がり。

※調味料の分量は、お使いの製品によって塩分や甘みに相当違いがありますので、ご家庭でお使いのものに合わせて調節してください。表示してある分量はあくまでも目安です。

一口メモPart2

●さん生家では人気メニューの一つなので、すり流し用にわざわざ枝豆を茹でることが多いのですが、前の晩に茹ですぎて余った枝豆を使うこともしばしばです。その場合、枝豆の量は日によって変わってきますので、普段は分量にはあまりこだわらず、適当に作ることがほとんど。冷たく冷やす料理なので、昼間のうちに作って夜いただくパターンが多くなりますが、夜作って朝いただくのもまたおつなもの。二日酔い気味の時は、胃に優しい朝のスープ料理に早変わりです。

●今回は白玉を浮かべてぜんざい風に仕上げましたが、細かい賽の目に切った絹ごし豆腐などを浮かべてもまた美味しく食べられます。その場合は十分な水切りを忘れずに。豆腐の水切りが十分でないとすり流しが水っぽくなってしまいますので、ご注意下さい。

※このレシピは『柳家さん生公式サイト・さん生さんちの台所』の中にある、「今週のおもてなし料理」のコーナーで紹介された料理を詳しく紹介したものです。無断転載などはかたくお断りいたします。ご意見、ご希望、ご質問などがございましたら、メールにてお知らせください。(調理とレシピ=杉江保枝)
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