器:杉江保枝

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DATE:
2005.11.11

『あん肝酒蒸し』

●ある調査によると、居酒屋で食べたいメニューのナンバー1があん肝だとか。確かに冬になると恋しくなる酒肴の一つではあります。出盛りはまだまだ先で、今出回っているのはたいがい中国産。脂の乗りも今ひとつですが、家で酒蒸しにすればひと味もふた味も違って美味しく感じられます。外で食べると筋があったり、生臭かったりすることも往々にしてありますが、筋をきちんと取って血抜きをし、下処理を完璧に行えば上品な料亭の一品になります。ぜひ一度ご自宅でもお試しください。

用意するもの(概略)
  • あん肝一腹
  • 塩適宜
  • 酒適宜
  • ダシ昆布一枚
  • ポン酢
  • 紅葉おろし
  • あさつき

一口メモ

●あん肝は大きいものほど脂の乗りがよく、美味しいとされています。出盛りの頃はかなり大振りなものが出回りますので、選ぶときは大きさで選んでください。ポイントは何といっても血抜き。きちんと血抜きをしないと、加熱したときに全体に血が回ってしまい、生臭くなるばかりか、見た目も茶色くなって美味しくありません。水につけて5〜6時間というのはかなり長い気がしますが、一晩つけ置きと考えればそれほど気にならないものです。十分に血抜きをしたあん肝は白子のように真っ白で、いかにも美味しそう。このあん肝をさらに酒に2時間漬け込みます。手間というより、時間のかかる料理ですが、長時間かけて美味しくなっていくわけですから、出来上がったときの楽しみもひとしおです。

作り方
  1. あん肝は筋目に包丁を入れ、筋を丁寧に取り除く。さらに筋のきわに血管があり、血がたまっているので、この血を押し出すようにして取り除く。たっぷりの冷水に浸し、冷蔵庫で5〜6時間血抜きをする。
  2. 血抜きをしたあん肝は水のなかでさらに余分な筋や皮などを丁寧に取り除き、キッチンタオルを敷いたバットに取って、余分な水気をふき取る。塩を多めに振りかけ、30分ほどおく。
  3. 浅めの保存容器にダシ昆布を敷き、2のあん肝を入れて酒をひたひたに注ぐ。上からキッチンタオルをかぶせて全体に酒が回るようにして、冷蔵庫で2時間つけ込む。
  4. 3のあん肝を酒から取り出し、アルミホイルの上に置き、くるくると包んで、円筒形に形を整え両端をねじる。沸騰した蒸し器に入れて十五分ほど蒸す。
  5. 蒸し上がり、あら熱が取れたら出来上がり。薄く切って器に盛りつけ、ポン酢、紅葉おろし、あさつきをあしらい卓に供する。

※調味料の分量は、お使いの製品によって塩分や甘みに相当違いがありますので、ご家庭でお使いのものに合わせて調節してください。表示してある分量はあくまでも目安です。

一口メモPart2

●あん肝は酒に漬ける前に塩をしますが、この塩をケチると味が今ひとつパンチに欠けてしまいますから、やや多めにと心がけてください。塩漬けかしら、と思うほど塩をしても、酒に漬ける課程で溶け出してしまい、さほどしょっぱくはなりませんから大丈夫。ものの本には、ほぼ全体が塩でくるまるほど漬け込むと書かれたものもあるほどです。蒸すときにアルミホイルを使うのは形を整えるため。面倒ならそのまま蒸しても構いませんが、ちょいとオツを気取るなら、やはり円筒形に整えて。またポン酢は市販のもので十分ですが、ご自分でお作りになるとより一層美味しくなります。

※このレシピは『柳家さん生公式サイト・さん生さんちの台所』の中にある、「今週のおもてなし料理」のコーナーで紹介された料理を詳しく紹介したものです。無断転載などはかたくお断りいたします。ご意見、ご希望、ご質問などがございましたら、メールにてお知らせください。(調理とレシピ=杉江保枝)
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