器:杉江保枝

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DATE:
2005.12.16

『鴨の治部煮』

●金沢の郷土料理としても知られる鴨の治部煮は、お正月のおせち料理にも便利な一品です。濃いめのダシでスライスした鴨をさっと煮るのですが、肉の周囲に膜をつけるために小麦粉をまぶしてあります。よく片栗粉を使うとするレシピがありますが、片栗粉はつゆに溶け出しやすく、つゆにまでとろみがついてしまうことが多いようです。つゆにとろみがついては美味しい治部煮になりません。肉の周囲にはタンパク質の膜があり、つゆはあくまでもさっらっとしているのが本寸法。煮るときの鍋の温度さえ間違えなければ、とても美味しい治部煮が仕上がります。来年のお正月にでもぜひ味わってみてください。

用意するもの(概略)
  • 鴨の抱き身(胸肉)1枚
  • だし汁400cc
  • 酒60cc
  • みりん30cc
  • しょうゆ60cc
  • 小麦粉適宜

一口メモ

●煮汁は濃いめに作ります。鴨そのものの味と、煮汁の美味しさと、両方を味わうことができるようイメージして味付けしてください。鍋が沸騰している状態で煮るのがコツ。一枚一枚丁寧に鍋に入れていきますが、温度が下がったら必ず沸騰するのを待って次を入れること。そうしないと小麦粉が瞬時に固まらず、べったとした治部煮になってしまいます。片栗粉を使う方がいますが、片栗粉は汁に溶け出しやすいので、小麦粉(薄力粉)を使ってください。

作り方
  1. 鴨肉は余分な脂を取り除き、5ミリ厚程度にスライスする。
  2. 1の鴨肉をバットに並べ、全体に薄く小麦粉をまぶしておく。
  3. 鍋にだし汁を入れて火に掛け、沸騰してきたら酒、みりん、醤油の順番で味を付ける。
  4. 3の鍋が沸騰している状態で、鴨肉を一枚一枚入れていく。冷たい肉が入ると一時的に鍋の温度が下がるので、必ず沸騰している状態になったら入れるようにする。全体にさっと火が通ったら出来上がり。器に盛りつけて卓に供する。

※調味料の分量は、お使いの製品によって塩分や甘みに相当違いがありますので、ご家庭でお使いのものに合わせて調節してください。表示してある分量はあくまでも目安です。

一口メモPart2

●鴨を美味しくいただくには、あまり煮すぎないのがコツです。中身がピンク色に仕上がっているのが、一番美味しい状態です。一枚一枚肉を入れていくので、最初に入れた肉にはやや火が通り過ぎる傾向がありますが、強火で常に沸騰している状態を作っておけば、あまり失敗はありません。盛りつけるときには、梅型に切った人参や絹さや、また茹でた水菜等をあしらうと、とてもきれいになります。鍋の温度を気をつける以外には、さして難しい料理ではありません。ぜひ試してみてください。

※このレシピは『柳家さん生公式サイト・さん生さんちの台所』の中にある、「今週のおもてなし料理」のコーナーで紹介された料理を詳しく紹介したものです。無断転載などはかたくお断りいたします。ご意見、ご希望、ご質問などがございましたら、メールにてお知らせください。(調理とレシピ=杉江保枝)
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