料理と器:杉江保枝

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DATE:
2006.04.21

『蕗とそら豆の炊き合わせ』

●この季節、毎日でも食べたい旬の蕗の煮物。今回はやはり旬を迎えたそら豆と炊き合わせにして、二通りの味を楽しみます。炊き合わせとは異なる種類の煮物を一つの器に盛りつけることを言います。本来は三種類以上を盛りつけるようですが、まあそこはご愛敬。蕗とそら豆は別々の味付けで、別々の鍋で煮付けます。蕗は塩をやや多めに使ってあっさりと、そら豆はしょうゆ味でこっくりと煮ます。そら豆を煮付けるなんてちょっと珍しい感じがしますが、お醤油味で煮たそら豆は何とも美味。ほくほくして皮ごと食べられて、いつもと違う味わいが新鮮です。この季節ならではの味を、ぜひお試しください。

用意するもの(概略)

●蕗の煮物

  • 蕗1把
  • だし汁
  • みりん
  • 醤油
  • かつお節少々

●そら豆の煮物

  • そら豆・さやつきで1キロ
  • だし汁
  • みりん
  • 醤油

一口メモ

●蕗はあく抜きがちょっぴい面倒ですが、この課程は外すことができません。広口の鍋を使い、その鍋に入る長さに蕗を切り、あく抜きします。塩をして板ずりしてから茹でますが、あまり強く板ずりすると形がグズグズになってしまうのであくまでも軽くやりましょう。すじを取るときは包丁を使うと手早くできます。味付けは蕗の緑色を生かすために塩を中心にします。塩だけでは味が尖ってしまうので、少しだけ醤油を加えてまろやかさを加味します。盛りつけるときにかつお節をかけると味わいが増します。

作り方
  1. 蕗は葉を落とし、適当な大きさに切り、まな板の上で軽く塩をしてから板ずりし、たっぷりのお湯で茹でてアクを抜く。
  2. 1の蕗を一度水にさらし、あら熱を取り、すじを丁寧に剥き、3〜4センチ程度に切りそろえる。
  3. 2を鍋に入れ、だし汁をひたひたに加えて火にかけ、沸騰してきたら酒、みりんを加え、一度煮切ってから塩を加える。塩は小さじ1杯程度から加えて味を見て少しずつ足していき、もうひと味足りない程度まで味を付けたら、醤油を少々加えて味を調え、落としぶたをして弱火で煮付ける。煮上がったところで味見をし、足りないようなら醤油を加えて再度味を調え、一度沸騰させてから火から下ろす。
  4. そら豆はさやから外し(3/1量ほどに減る)、軽く塩ゆでにしたあと一度流水にさらして色止めし、だし汁と共に鍋に入れて火にかける。
  5. 4が沸騰してきたら酒、みりんを加え、蕗と同様一度煮切ってから醤油を加え、やや濃いめに味付けする。汁が半量ほどになったら出来上がり。
  6. 蕗とそら豆を同じ器に盛りつけ、蕗にはかつお節を添えて供する。

※調味料の分量は、お使いの製品によって塩分や甘みに相当違いがありますので、ご家庭でお使いのものに合わせて調節してください。表示してある分量はあくまでも目安です。

一口メモPart2

●そら豆はさやを取ってしまうと本当に少なくなってしまいます。もったいないな〜とか、面倒くさいな〜と思う方は冷凍のものを使うといいでしょう。でも、この季節、やはり旬のお野菜ですから、できればさや付きのものを買い求めて調理することをお勧めします。茹でて塩をふってオーソドックスに食べるのももちろん美味しいのですが、今回のように醤油で煮てみるとまた違った味を発見した気分になります。煮付けると皮ごとそっくり柔らかく食べられます。皮には歯ごたえがあり、中はほくほくしてちょっと面白い舌触りです。味付けはやや濃いめにしっかりと。あっさり味の蕗と一緒にいただいて、その違いを楽しんでみてください。

※このレシピは『柳家さん生公式サイト・さん生さんちの台所』の中にある、「今週のおもてなし料理」のコーナーで紹介された料理を詳しく紹介したものです。無断転載などはかたくお断りいたします。ご意見、ご希望、ご質問などがございましたら、メールにてお知らせください。(調理とレシピ=杉江保枝)
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