料理と器:杉江保枝

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DATE:
2006.09.15

『自家製柚子こしょう』

●3年ほど前から自宅で柚子こしょうを手作りしています。昔から九州地方で使われている調味料ですが、近年ではスーパーなどで手軽に手に入るようになりました。ただ作り手や作られた地方によって味がかなり違うので、好みのものを探すのは結構大変。それなら、というわけで自分で作ってしまったわけです。これが市販のものより数段美味しく、そのまま酒のつまみとして食べられるほど! 親しい皆様に差し上げると、あまりの美味しさに、もっと分けてほしい、作り方を教えてほしい、と熱いラブコールが。そこで今回は、青柚子と青唐辛子が出回っているこの季節でなければ仕込めない、自家製柚子こしょうの作り方をご紹介してしまいます。意外と簡単ですから、ぜひ仕込んでみてください。白身の刺身や肉の炙り焼き、味噌汁、おしんこ、何にでも合います。そして何といってもこれから鍋のシーズン。大活躍すること請け合いです。

用意するもの(出来上がり全体量約260g・概略)
  • 青柚子(ゴルフボール大のもの)約10個
  • 青唐辛子(種類はお好みでどうぞ)約200〜250g
  • 塩(できれば良質の天然塩)大さじ1〜1.5

一口メモ

●大変なのは柚子の皮むき。柚子の皮にはやや油分があり、この油が包丁に巻いてくると切れ味が悪くなります。切れなくなったな、と思ったら包丁を布巾で拭ってからまた切り始めてください。レシピにもある通り、なるべく薄く剥きますが、多少白い部分が入っても大丈夫。あまり神経質になると作業に嫌気が差しますので、気楽に構えて剥きましょう。また青唐辛子は豪快に種ごと使用します。作りたては白い種がぽつぽつ目立ちますが、そのうちにこの種も青く染まってきます。種の白さが気にならなくなったらもう食べ頃です。この青唐辛子の分量が多いと水分が多くなります。青唐辛子は種類によって辛みや味が違うyので、分量はお好みで結構ですが、辛みが苦手だからと分量を減らすと、日持ちが悪くなるので要注意。青唐辛子の分量を減らしたら塩をきつくするなどの工夫をして、ご自分の味を確立してみてください。

作り方
  1. 青柚子と青唐辛子は洗って水を切っておく。
  2. 青柚子の皮を剥く。白い部分が入りすぎると苦味が出るので、なるべく入れないように薄く剥きたいところだが、料理に添える時のように極端に薄く切る必要はない。あまり神経質にならずに、りんごの皮を剥く要領でくるくると剥いてゆく。
  3. 青唐辛子はヘタの部分を落とし、傷んでいる箇所があったら取り除いておく。
  4. 2の青柚子の皮と3の青唐辛子をフードプロセッサーに入れ、細かくすりつぶす。水分が少ないためになかなか細かくならないので、途中でゴムべらなどを使用して全体を良く混ぜ合わせながら丹念にすりつぶす。
  5. 4が十分に細かくなったらボウルに移し、塩を加えて全体に良く馴染むように丁寧に混ぜ合わせる。
  6. 5を保存容器に移して表面を平らにならし、冷蔵庫に保存する。3日ほどで軽く発酵が始まり、一週間ほどで食べられる。味が良く馴染んで美味しくなるまでには、さらに十日ほど置くと良い。
  7. 作った柚子こしょうは冷蔵庫にそのまま入れておいて長期保存が可能だが、劣化が心配な方や、みずみずしい香りをいつまでも楽しみたい方は、柚子こしょうがお好みの状態になった時点で小分けにして冷凍すると良い。冷凍した柚子こしょうは自然解凍して使用する。

※調味料の分量は、お使いの製品によって塩分や甘みに相当違いがありますので、ご家庭でお使いのものに合わせて調節してください。表示してある分量はあくまでも目安です。

一口メモPart2

●市販の柚子こしょうはねっとりしたものが多いのですが、さん生家ではこれが苦手。そこで自家製もさらっと仕上げてありますが、どうしてもねっとりさせたい方は青唐辛子を大量に入れるか、フードプロセッサーですり混ぜるときに心持ち水を入れてさらに細かくすり混ぜてください。でも、おすすめはやはりやや粗めの仕上がり。この方が汁物に溶けやすく、香りも爽やか。しかもそのままつまみになるほどの美味しさなのです。いってみれば柚子と青唐辛子の塩漬けですが、実際に作ってみると発酵が進んで美味しくなるのがよくわかります。発酵は人類の叡智です。なお、塩はなるべく良質の天然塩を使うとより一層美味しく出来上がります。せっかくの自家製ですから、お塩も贅沢に使いましょう。出来上がった柚子こしょうは、味噌汁にとかしたり、肉の塩焼きにつけて食べたり、白身の刺身に使ったり、鍋に使ったりと用途もさまざま。ご自分でお造りになれば美味しさもひとしお。ぜひぜひお試しいただきたい一品です。

※このレシピは『柳家さん生公式サイト・さん生さんちの台所』の中にある、「今週のおもてなし料理」のコーナーで紹介された料理を詳しく紹介したものです。無断転載などはかたくお断りいたします。ご意見、ご希望、ご質問などがございましたら、メールにてお知らせください。(調理とレシピ=杉江保枝)
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