料理と器:杉江保枝

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DATE:
2006.11.17

『海老しんじょ揚げ』

●海老しんじょ、というとちょっと高級なイメージがあるのは、手間がかかるので家庭の食卓にはあまりのぼらないからでしょう。実際にきちんと作れば相当面倒。つなぎの山芋や卵の分量も中途半端になりがちで、家庭向きの料理とは言えません。そこでなるべく無駄なく簡単に作ろうと考えたのがこの海老しんじょ揚げ。しんじょですから、海老を包丁で叩き、山芋とすり混ぜるまでは一般的な手順通り。ただ、海老のプリプリ感を大切にしたいのであまりすり混ぜることをせず、無駄がないよう全卵一個を使い、片栗粉を多めに混ぜて種を作ります。これを油に直接落として揚げるところがミソ。全卵を使った分、色がきつね色になるのが難と言えば難ですが、ふんわりした歯触りも味も折り紙付きです。これなら手軽に海老しんじょが楽しめるのでは? ぜひお試しください。

用意するもの(概略)
  • むき海老150g
  • すり下ろした山芋大さじ1
  • 卵1個
  • タマネギ1/2個と片栗粉小さじ2
  • 塩少々
  • 片栗粉大さじ2
  • 揚げ油適宜

一口メモ

●本来海老しんじょに使われるのは全卵ではなく卵白です。その方が白く仕上がり、海老の色がきれいに見えるから。でも卵白だけを使うと卵黄が余って困ることもしばしば。そこで今回は思い切って卵を1個全て使い切ることにしました。ただ問題はその量。海老がこの分量なら卵白1/3個分でも多いくらい。だからといって海老をふやしたら、食べきれないくらいのしんじょができてしまいます。そこで片栗粉を多めに入れて固さを調節します。大さじ2は多すぎるように思われるかも知れませんが、大丈夫。その代わり、衣は使わず直接油で揚げますので、手間いらずで失敗も少ないのです。

作り方
  1. タマネギ1/2個はみじん切りにし、全体に片栗粉小さじ2をからめて水分を封じ込める。
  2. むき海老は包丁で細かく切り、やや粘りが出るまで叩いてすり鉢に移す。
  3. 2にすり下ろした山芋大さじ1を加えて全体が馴染むまで軽くすり混ぜる。
  4. 3に卵1個を割り入れ、よく混ぜる。ふんわり仕上がるように、空気を中に入れるような気持ちで混ぜる。すりこぎではなく、ゴムべらを使うと良く混ざる。
  5. 4に1のタマネギをざっくりと混ぜ、塩少々で味付けした後、片栗粉大さじ2を加えてさらに全体をよく混ぜ合わせる。
  6. 5を中温の油で揚げる。スプーンを使って、小さな俵型を作るようなつもりで、直接油に落とし、色よく揚げる。
  7. 揚がったら器に盛りつけて出来上がり。そのままでも十分美味しいが、抹茶塩などを添えるとより味わい深い。

※調味料の分量は、お使いの製品によって塩分や甘みに相当違いがありますので、ご家庭でお使いのものに合わせて調節してください。表示してある分量はあくまでも目安です。

一口メモPart2

●ふわっとした中に、ぷりっとした海老の歯ごたえが感じられるところがたまらない美味しさです。気取ったしんじょとは違って、おでん種のような味わいですが、それなりに高級感もあってちょっとおしゃれな趣も。丸く成形したり、片栗粉をまぶしたりと言った手間を、片栗粉は全体に混ぜ入れ、油に直接落として揚げることで解消。これなら日常の食卓にも並びやすいのではないでしょうか。酒のつまみにはもちろんですが、お弁当のおかずにもお勧めの一品。天ぷらや、揚げ物のついでに作ってみてください。

※このレシピは『柳家さん生公式サイト・さん生さんちの台所』の中にある、「今週のおもてなし料理」のコーナーで紹介された料理を詳しく紹介したものです。無断転載などはかたくお断りいたします。ご意見、ご希望、ご質問などがございましたら、メールにてお知らせください。(調理とレシピ=杉江保枝)
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