料理と器:杉江保枝

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DATE:
2008.01.25

『寒ぶりとごぼうの煮付け』

●ぶりと言えば照り焼き、のつもりで切り身を買っておいたのですが、うっかりして調味料に漬け込むのを忘れ、気が付けば夕飯の時刻。そこで急遽メニュー変更、台所の隅で今か今かと出番を待っていたごぼうと一緒に煮付けにしていただきました。魚は焼いても美味しいけれど、煮付けるとまた違った味わいがあり、これはこれでたまらないもの。ぶりはあらを大根で炊いたりしますが、今回使用したごぼうもまた魚の煮付けとは相性が良く、同時に生臭さも取ってくれますので一石二鳥です。脂の乗った寒ぶりのうまさと、ごぼうの香りが口中に広がれば、う〜ん、やっぱりここは上質の日本酒などたしなみたいところ。冬の味覚・寒ぶりを、今夜当たり煮付けでいかがでしょうか?
用意するもの(概略)
  • ぶりの切り身2
  • 塩少々
  • ごぼう1本
  • だし昆布4×5センチ程度
  • 水200cc
  • 酒大さじ1
  • みりん大さじ2
  • 醤油大さじ2
  • 生姜の絞り汁適宜
  • ネギ・生姜・柚子各適宜

一口メモ

●魚の煮付けには昆布だしを用います。最近は市販のだしつゆを使って作る方も多いようですが、かつおのだしでは魚の生臭さが出てしまうので要注意。昆布だしは水から煮て沸騰する前に取りだすだけで手軽に取れますので、必ず昆布だしを使うようにしてください。また、味付けは甘辛くするのが美味しく作るコツ。薄味ばやりの昨今ですが、魚の煮付けは、特に江戸前は甘辛が基本。今回はみりんを使用していますが、もっと江戸前に作るのなら、思い切って砂糖をどっさり使ってみるといいでしょう。

作り方
  1. ぶりの切り身の表面に塩少々をふっておく。
  2. ごぼうは洗って泥をよく落とし、皮ごと4〜5センチの長さに切り、太ければ1/2〜1/4に割り、酢水につけてアクを抜く。
  3. 鍋に水200ccとだし昆布を入れて中火にかける。
  4. 沸騰する直前にだし昆布を取り出し、酒大さじ1、みりん大さじ2を入れて一度煮きり、醤油大さじ2を加えて一度沸騰させる。
  5. 4の鍋に酢水から上げて水洗いして水気を切ったごぼうを入れて一煮立ちさせた後、1のぶりを入れ、アルミホイルなどで落としぶたをして弱火〜中火程度で10分ほど煮付ける。
  6. 煮ている間に、白髪ネギ、針生姜、柚子の千切りを用意しておく。
  7. 煮上がったら全体に生姜の絞り汁を回しかけて出来上がり。
  8. 器に盛りつけ、白髪ネギと針生姜、柚子をあしらって卓に供する。

※調味料の分量は、お使いの製品によって塩分や甘みに相当違いがありますので、ご家庭でお使いのものに合わせて調節してください。表示してある分量はあくまでも目安です。

一口メモPart2

●今回はぶりを使用しましたが、もちろん他のお魚を使って煮付けても美味しく仕上がります。魚をそのまま煮付けてしまう方は少なくありませんが、軽く塩をすると旨味が引き出されて美味しくなりますので、この手間を惜しまないことが上手に味を含ませるコツです。下味をつける場合、肉などは割合大量の塩を使いますが、魚は塩少々で上品に。あくまでも旨味を引き出すおまじないだと思って軽く塩をします。なお、魚を煮付けるときはテフロン加工のフライパンが便利。少ない汁で煮上がりますし、焦げ付く心配がありません。また、仕上げに生姜の絞り汁をかけていますが、これはなくても結構です。お好みでどうぞ。

※このレシピは『柳家さん生公式サイト・さん生さんちの台所』の中にある、「今週のおもてなし料理」のコーナーで紹介された料理を詳しく紹介したものです。無断転載などはかたくお断りいたします。ご意見、ご希望、ご質問などがございましたら、メールにてお知らせください。(調理とレシピ=杉江保枝)
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