料理と器:杉江保枝

FILE186

DATE:
2008.03.29

『根菜入りメンチカツ』

●ある日突然メンチカツが食べたくなりました。さくっとしたあとジュワーっと広がる肉汁の味を想像しているうちに、これにごぼうや蓮根などの根菜を入れたらさぞや美味しいことだろうと思い立ち、早速作ってみたところ、予想以上のうまさ。野菜が入る分、仕上がりが軽くなり、揚げ物を食べたあとの胃の重たさがありません。繊維質も一緒に取れますからまさに一石二鳥。ダイエット中だけど揚げ物大好きな方には特におすすめです。手作りのデミグラスソースをたっぷり添えれば、老舗洋食屋さながらのひと皿に。デミグラスソースを本格的に作るとなると大変な時間と労力がかかりますが、今回ご紹介するのはお手軽な作り方。30〜40分もあればできてしまいますので、覚えておくととても便利です。週末のご馳走にぜひトライしてみてください。
用意するもの(5〜6センチ直径の丸形メンチカツ16個分・概略)
  • 牛挽肉300g
  • 豚挽肉200g
  • つなぎ用にパン粉0.5カップと牛乳大さじ2
  • つなぎ用に卵1個
  • タマネギ中1個
  • 新ごぼう2本
  • 蓮根(小)一ふし(約70g)
  • 人参100g
  • ニンニク1片
  • 塩小さじ1
  • 胡椒・ナツメグ各小さじ1/2
  • 衣用に薄力粉適宜
  • 衣用にパン粉適宜
  • 衣用に卵1個と牛乳大さじ2
  • 揚げ油適宜
  • デミグラスソース用にバター20g/薄力粉大さじ2/水200cc/コンソメキューブ1個/トマトピューレ100g/トマトケチャップ大さじ2/塩・胡椒適宜/赤ワイン20cc

一口メモ

●今回はお肉屋さんで牛と豚の挽肉をを3:2で買ってきて、自分で混ぜ合わせて使いました。もちろんすでに混ぜ合わさっている合い挽き肉を使用してもかまいません。肉は良くこねて粘りを出すのが美味しく作るコツ。てのひらの温度で脂がそこそこ溶けることで粘りが出ます。つなぎを混ぜてから野菜を混ぜますが、細かいものから混ぜていった方がやりやすいので、最初にニンニクとタマネギをよく混ぜ、根菜類は最後に入れます。成形するときは空気を良く抜いて形作ります。バットに小麦粉を敷いて、その上に成形したものを並べ、また上から小麦粉をかけると手間いらずで粉をまぶすことができます。揚げ油は中温でじっくり揚げてください。中央を指で押さえてしっかりした弾力があれば揚げ上がり。慣れないうちは揚がったものを切ってみて中身を確認し、揚げ上がりの感触を覚えるといいでしょう。

作り方
  1. デミグラスソースを作る。炒め鍋を弱火にかけ、バター20gを入れてゆっくりと溶かし、半分ほど溶けたところでふるっておいた大さじ2の薄力粉を加えて、ヘラを使ってゆっくりと炒める。最初はぽそぽそしてるが、だんだんクリーム状になってくるので、根気よく炒める。
  2. 1のバターと薄力粉が焦げ茶色になるまで炒めたら(カラメルソースのような色)、一度火を落とし、水200ccをごく少量ずつ加えて伸ばす。温度が低くなるようなら途中で火をつけて少し温め、高くなったら消すようにして鍋の中の温度を一定に保つとダマにならない。
  3. 2が十分に伸びたら、コンソメキューブ1個を加えて溶かし、さらに赤ワイン20ccとトマトピューレ100gを加えて粉っぽさがなくなるまで煮込み、最後トマトケチャップ大さじ2と塩・胡椒で味を調えれば出来上がり。
  4. メンチカツを作る。まず野菜を切る。新ごぼうは洗って葉の部分を落として粗みじん、蓮根は皮を剥いて粗みじんにして、いずれも酢水につけてアクを抜いたのち、水洗いして水を切る。人参とタマネギ、ニンニクはみじん切りにしておく。
  5. 牛挽肉と豚挽肉をボウルに入れて良く混ぜ、やや粘りが出るまで手でこね、予め大さじ2の牛乳でふやかしてあったつなぎ用のパン粉(1/2カップ)と卵1個を加えてさらに良くこねる。
  6. 粘りが出るまでこねたら、4の野菜を加える。最初にタマネギとニンニクを加えてよく混ぜ、人参、ごぼう、蓮根をさらに加え、塩小さじ1、胡椒・ナツメグ各小さじ1/2を加えてよく混ぜる。
  7. 6のタネを16等分し、直径5〜6センチの丸形に成形し、全体に小麦粉をまぶしたのち、溶き卵に牛乳大さじ2を加えた卵液に通してパン粉をつけ、中温の油で色よく揚げる。中央を指で押さえて柔らかいようなら揚がっていない証拠。指で触ってしっかりしている状態になれば揚がっている。
  8. 油を切って器に盛りつけて出来上がり。デミグラスソースやキャベツを添えて卓に供する。

※調味料の分量は、お使いの製品によって塩分や甘みに相当違いがありますので、ご家庭でお使いのものに合わせて調節してください。表示してある分量はあくまでも目安です。

一口メモPart2

●メンチカツと共に今回の目玉になっているのが手作りのデミグラスソース。デミグラスソースは市販されている缶詰を使うと簡単でいいのですが、いかんせん量が多く、煮込み料理などにはいいけれど、ハンバーグなどに手軽に使用するには不向き。また本格的に作ろうと思ったらそれこそ一日仕事。しかも美味しく食べられるまでには数日寝かせる必要もあり、家庭ではなかなか手に負えません。そこで今回は30〜40分程度で出来上がる手抜きバージョンを採用。バターと薄力粉でブラウンルウを作ってスープで溶き、トマトピューレとケチャップで味付けします。ルウを溶くときは、よく人肌まで冷まして人肌に温めたスープを使用すると言いますが、温度に頼ると失敗しがちです。ルウができたら一度火を止め、まだ熱いうちに水を少しずつ加えては溶き混ぜる作業を根気よく行えば、たいがいダマなくうまく行くはず。ポイントは鍋の中の温度。ルウが溶けやすい温度に設定しておけばいいわけで、冷めたら加熱、暑くなったら火を止めるという工夫をします。ある程度溶けたらあとは何を加えても大丈夫。粉っぽさがなくなるまで煮込めば出来上がり。さらにコクを足したいなら、飴色に炒めたタマネギを加えて煮込んでください。飴色タマネギは自分で作ってもいいし、瓶詰めで市販されているものを使用してもかまいません。メンチカツはもとより、ハンバーグのソースとしても活躍しますので、ぜひお試しを。

※このレシピは『柳家さん生公式サイト・さん生さんちの台所』の中にある、「今週のおもてなし料理」のコーナーで紹介された料理を詳しく紹介したものです。無断転載などはかたくお断りいたします。ご意見、ご希望、ご質問などがございましたら、メールにてお知らせください。(調理とレシピ=杉江保枝)
さん生さんちの台所TOPへ  今週のおもてなし料理を見る  料理ファイル一覧を見る