料理と器:杉江保枝

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DATE:
2008.05.16

『クレソンの冷製ポタージュ』

●信州の友人から、土地に自生する天然のクレソンをいただきました。おひたしや鍋にサラダと大活躍。初夏の香りを楽しんでいます。ただ困るのは、おひたしならばともかく、柔らかい葉の部分のみを使用するサラダの場合、茎があまってしまうこと。炒め物やブーケガルニに使用する方法もありますが、今回はこのクレソンの茎を使って、翡翠色が美しい、初夏にうれしい冷たいポタージュを作ってみました。と言ってもビシソワーズ(じゃがいもの冷製スープ)にクレソンが入っただけで特に企みはなし。ただし本格的なビシソワーズよりかなり手軽な作り方を心がけていますので、それほど難しくはありません。口に含むとクレソンの香りが舌の上に広がり、何とも爽やか。苦味はやわらいでいますので、クレソンが苦手なお子様にもお勧め。今回は冷製にしましたが、温かいままでもおいしく食べられます。普段の夕飯も、洒落たディナーに変わるひと品。お試しください。
用意するもの(概略)
  • クレソンの茎80g
  • じゃがいも2個
  • タマネギ1/2個
  • ニンニク1片
  • バター20g
  • 牛乳300cc
  • 水150cc
  • コンソメキューブ1個
  • 塩・胡椒適宜
  • 生クリーム40cc
  • 飾り付け用にクレソンの葉適宜

一口メモ

●煮込んだ野菜や茹でた青菜をペースト状にするのには、ミキサーやフードプロセッサーなど、ご家庭にある適当なものを使用してください。今回はじゃがいも・タマネギ等はフードプロセッサーを使用し、クレソンはイワタニのミルサーを使用しました。繊維質の多い青菜の場合、フードプロセッサーやミキサーではうまくすりつぶしきれない場合があるのですが、ミルサーはその点完璧。ビックリするほど滑らかなペーストが出来上がります。もちろんミルサーのない方はミキサーを使用してもかまいません。なお、野菜だけをペーストにしようとしてもうまく行きませんので、ミキサーやミルサーにかける際は、少量の水を加えることをお忘れなく。また、スープに加えるのは一番最後。早い時点で加えてしまうと色と香りを損ねる可能性があります。あくまでも香りと色をつけるため、と心得て加えてください。

 

作り方
  1. タマネギはヘタと根を落として櫛形の薄切りに切り、ニンニクは薄切りにする。じゃがいもは皮を剥いて適当な大きさに切る。
  2. 鍋を中火に欠けてバター20ccを入れ、半分ほど溶けたところでニンニク、タマネギの順に炒めてゆく。タマネギを入れたところで塩少々をふり、水分を出しながら焦がさないように炒める。
  3. タマネギがしんなりして、ツンとする匂いが消えて香ばしい香りになってきたらじゃがいもを加えてさっと炒め、さらに牛乳300cc、水150cc、コンソメキューブ1個を加え、弱火でじゃがいもに火が通るまで煮込む。じゃがいもに完全に火が通ったら火を止め、あら熱が取れるまで冷ます。
  4. クレソンを茹でる。熱湯に塩少々を入れ、やや柔らかめに茹でて水に取り、みじん切りにし、ミキサーなどを使ってペースト状にしておく。
  5. あら熱の取れた3をスープ濾しまたはザルで濾し。野菜とスープに分ける。野菜はフードプロセッサーにかけて滑らかになるまですりつぶす。
  6. 濾したスープを再び鍋に入れ、すりつぶした野菜を加えて弱火に欠け、全体が良く馴染むようにかき混ぜながら熱を加える。
  7. 6がふつふつと入ってきたら、4でペーストにしたクレソンを加えてさらによく混ぜ、塩・胡椒で味を調える。
  8. 仕上げに生クリーム40ccを加え、沸騰する直前で火を止めて冷ましたのち、保存容器に入れて冷蔵庫で良く冷やす。
  9. 器に盛りつけ、クレソンの葉をあしらって卓に供する。

※調味料の分量は、お使いの製品によって塩分や甘みに相当違いがありますので、ご家庭でお使いのものに合わせて調節してください。表示してある分量はあくまでも目安です。

一口メモPart2

●言わばビシソワーズに青菜のペーストを加えただけのスープですが、それほど大上段に構えなくても手軽に作れると思います。ビシソワーズの場合、じゃがいもの他に人参やセロリなどの香味野菜を一緒に煮込み、しかもペーストにする際には色のついた野菜を取り分けるという面倒がありますが、今回は白い野菜のみを使用し、手順を少し単純化してあります。また香味野菜を排除したのには、クレソンの香りを協調したかったという理由も。そう考えるとニンニクも入れる必要はないかもしれません。ところでこの料理の難点はミキサーだのヘラだの洗い物が多いこと。ただ昼間の暇な時間に作っておけば、他の料理の手順を邪魔せずに済みますので、その点でも冷製は便利。もちろん、温かくしてもおいしく召し上がれます。

※このレシピは『柳家さん生公式サイト・さん生さんちの台所』の中にある、「今週のおもてなし料理」のコーナーで紹介された料理を詳しく紹介したものです。無断転載などはかたくお断りいたします。ご意見、ご希望、ご質問などがございましたら、メールにてお知らせください。(調理とレシピ=杉江保枝)
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