料理と器:杉江保枝

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DATE:
2008.05.31

『パプリカのムース』

●ムースと言ってもケーキではありません。一件デザートに見えますが、歴とした前菜。赤いパプリカをムース仕立てにしたものです。ムースだけを固めて食べてももちろん美味しいのですが、今回はちょっと豪華にコンソメゼリーを上に重ね、さらに生クリームを加えて三層に仕上げてみました。細かく切ったパプリカを上からトッピング。その赤色がまるでルビーみたいにきれい。もったいないようですが、これをスプーンで混ぜていただきます。するとピンクのムースの中に、パプリカのルビーとコンソメゼリーの琥珀が混じって、さながら宝石箱の趣に。やや濃いめのコンソメ味が、パプリカの香りと甘味をほどよく引き立てる絶品です。シャンパンと合わせたい雰囲気ですが、日本酒にも合います。ちなみに、見た目の豪華さの割に、作り方は結構簡単。ぜひチャレンジを。
用意するもの(4〜5人分概略)
  • パプリカ(赤)1個
  • 粉ゼラチン大さじ1
  • ゼラチンをふやかすための水60cc
  • 水50cc
  • 牛乳50cc
  • コンソメキューブ1個
  • 生クリーム100cc
  • コンソメゼリー用に水60ccとコンソメキューブ1個、粉ゼラチン小さじ1と水大さじ1
  • 生クリーム適宜

一口メモ

●今回は赤いパプリカを使用しましたが、他の色でももちろんかまいません。また、ペースト状になる野菜であれば何でも使えますので、ブロッコリーやカリフラワー、アスパラやほうれん草、人参など、いろいろ試してみるのも楽しいでしょう。野菜の甘さが生クリームによって引き出され、苦味や香りが緩和されていますので、香りのある野菜が嫌いなお子様にもおすすめできます。ムース液やゼリー液を濾すのは面倒という方は、この手順は必ずしも必要ではありませんが、濾せば口当たりはバツグンで、ダマなく美味しく仕上がりますので、面倒がらずに濾すことが大切かも。少量でしたら茶こしをお使いになると便利です。ただしムースの方は、細かいつぶつぶが多いので、普通の濾し器を使った方が無難。ヘラでつぶすように濾してください。

 

作り方
  1. 粉ゼラチン大さじ1に水60ccを振りかけ、4〜5分放置してふやかしておく。
  2. パプリカは4等分し、下手と種、白い筋を取り除き、網で焼いて冷水につけ、表面の皮を剥く。焼き茄子の要領で。剥ききれない部分があれば包丁でこそげ取る。
  3. 皮を剥いたパプリカは、トッピング用に少し取り分け、残りはざく切りにする。
  4. ざく切りにしたパプリカに水を少々加えてミキサーにかけ、ペースト状にしておく。
  5. 小鍋に水50ccとコンソメキューブ1個を入れて火にかけ、コンソメキューブが完全に溶けたら牛乳50ccを加え、沸騰する寸前に火を止め、1の粉ゼラチンを入れて十分に溶かし、冷ます。
  6. 5が冷めたら4のパプリカのペーストと、生クリーム100ccを加えてよく混ぜ、濾し器で濾す。
  7. 6を人数分のグラス等に等分に流し入れ、ラップをして冷蔵庫で2時間ほど冷やし固める。
  8. 7が固まったら、コンソメゼリーを用意する。粉ゼラチン小さじ1を大さじ1の水でふやかしておき、小鍋に水70ccとコンソメキューブ1個を入れて火にかけ、コンソメが溶けたら火から下ろして粉ゼラチンを加え、一度濾してから冷ます。
  9. コンソメゼリー液が完全に冷めてから、7のムースの上から流し入れ、ラップをして再度冷蔵庫で冷やし固める。
  10. コンソメゼリーが固まったら出来上がり。生クリームをかけ、細かく切ったパプリカをトッピングして卓に供する。

※調味料の分量は、お使いの製品によって塩分や甘みに相当違いがありますので、ご家庭でお使いのものに合わせて調節してください。表示してある分量はあくまでも目安です。

一口メモPart2

●コンソメゼリーはやや濃いめの味。70ccの水にコンソメキューブ1個はいかにもしょっぱそうですが、ムースが甘いので、実際に口にするとあまり気になりません。減塩を心がけている方はもう少し薄めのコンソメゼリーを使ってもいいでしょう。ゼリー液が余るようなら、平たい容器で別に固めてアスピックゼリーとしてお使いください。食べるときは全体を混ぜ合わせて。ムースのとろっとした甘さと、コンソメのピリッと切れのいいしょっぱさと、生クリームの濃厚で滑らかな味わいがちょうど良いハーモニーを醸し出します。トッピングのパプリカはなくてもかまいませんが、あればあったでこれまた苦味が何とも言えず美味。もちろんムースだけを固めて食べても美味しくいただけます。茹でた海老などを中に入れてみるのも楽しいかもしれません。見た目ほどにはさほど手間のかかる料理ではありませんので、ぜひ一度お試しになってみてください。

※このレシピは『柳家さん生公式サイト・さん生さんちの台所』の中にある、「今週のおもてなし料理」のコーナーで紹介された料理を詳しく紹介したものです。無断転載などはかたくお断りいたします。ご意見、ご希望、ご質問などがございましたら、メールにてお知らせください。(調理とレシピ=杉江保枝)
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