料理と器:杉江保枝

FILE200

DATE:
2008.07.06

『たらすみ』

●ここで紹介する料理はレシピ付きということもあり、基本的には誰にでも作れるものを載せています。しかし200アイテム目となる今回は、本格的な燻製機がないと作れない料理を敢えてご紹介。どうしても作ってみたい、という方はぜひ温度管理がきちんとできる燻製機をご購入ください。さて、肝心の料理の話。『たらすみ』とはなんぞや。一言で言えばたらこを使った唐墨もどき。しかし写真をご覧になればおわかりの通り、見た目は結構本物に近い出来上がりです。流行り(?)の食品偽装に使えそうな気さえしてきます。味ももちろんほぼ唐墨です。これなら値段を気にせず食べられます。一度腹一杯になるまで唐墨を食べてみたかったという方にはおすすめです。もっとも、そんなに食べられるものではありませんが。いずれにせよ実に珍味。本当に美味しいです。ちなみにさん生家で使用している燻製機はこちらです。
用意するもの(概略)
  • タラコ適宜
  • ピチットシート(食品脱水用シート)超高吸収タイプ適宜
  • 燻煙チップ(ヒッコリー適宜)
  • 燻製機
  • 干物ネット
  • 大根適宜

一口メモ

●はじめに燻製機ありきの料理なので、作ってみたい方はまず燻製機を買ってください。一口に燻製機と言ってもさまざまで、段ボールを使ったアウトドア用の商品などもありますが、この『たらすみ』の場合は温度管理が肝心なので、簡単に温度が上がりすぎる簡易燻製機はあまりおすすめできません。65℃程度でじっくり燻製できる商品を選んでください。レシピにもあるとおり、温度が高すぎるとただの焼きたらこになってしまいます。半生状態で上手に乾燥させるのがコツ。さん生家では、熱源に炭を使用していますが、電熱器とサーモスタットを使用すれば失敗は少なくて済むでしょう。

 

作り方
  1. たらこはピチットシート(ピチットスーパー・超高吸収タイプ)に挟んで冷蔵庫で一晩脱水する。
  2. 40℃程度に温めた燻製機に1のたらこを入れ、40℃を保ったまま30分ほど乾燥させる。
  3. 温度を60℃〜65℃程度に上げ、燻煙チップで約1時間ほど燻煙。温度が上がりすぎるとただの焼きたらこになってしまうので、温度管理は徹底すること。
  4. 手で触ってみて、表面が乾いて、中はやや柔らかい状態になっていることを確認し、燻製機から出し、干物ネットに並べて天日干し。1〜2日ほど天日で乾かして出来上がり。出来上がったものは冷蔵庫に保存。
  5. 薄切りにして器に並べる。大根の薄切りなどを添えるとより本格的に見える。

※調味料の分量は、お使いの製品によって塩分や甘みに相当違いがありますので、ご家庭でお使いのものに合わせて調節してください。表示してある分量はあくまでも目安です。

一口メモPart2

●たらこはネットで業務用のものを手に入れました。本来たらこは冬のものですから、夏場は入手が難しく、また燻製も冬の方が美味しく出来上がりますので(温度管理も冬の方が楽です)、今この時期に向いた料理とは言えないのですが、敢えてご紹介。また、たらこの味はややしょっぱいくらいが美味しく出来上がります。燻製する前にピチットシートで脱水するのをお忘れなく。燻製するときは遠火にすると美味しく出来上がりますが、何段も網を使う場合は、熱源からの距離で出来上がりが違ってくるので、ときどき位置を変えるようにします。それでも固くなってしまうものが何本か出てきます。固くなったものはおろし器ですり下ろし、たらすみパスタにするとまた美味。燻製したあと、干物ネットで干すのもお忘れなく。燻製食品は燻製したてよりも、一日二日過ぎてからの方が味が落ち着きます、とくに『たらすみ』の場合は天日で干すことで旨味が引き出され、味が凝縮します。燻製したてにちょうどいいと感じたものはあとで固くなりますので、少し柔らかいぐらいのところで燻製をやめ、あとは天日干しして味を落ち着かせます。

※このレシピは『柳家さん生公式サイト・さん生さんちの台所』の中にある、「今週のおもてなし料理」のコーナーで紹介された料理を詳しく紹介したものです。無断転載などはかたくお断りいたします。ご意見、ご希望、ご質問などがございましたら、メールにてお知らせください。(調理とレシピ=杉江保枝)
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