料理と器:杉江保枝

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DATE:
2008.03.20

『新筍と油揚げの煮物・水菜添え』

●春ですね。新筍のシーズンです。さん生家・今年お初の筍は熊本産。手のひらにすっぽり入ってしまいそうな可愛らしいサイズの筍です。アクを取り、一晩水にさらして、油揚げと一緒に煮付けました。水菜を添えて食卓に出せば、一気に春到来の気分。ベビーサイズの筍はとても柔らかくて、さりとて水煮みたいに歯ごたえがないわけではなく、サクサクとして香りも良く、一口噛んだだけでとても幸せな気分になります。筍のみを口に含んでも良し、油揚げと一緒に食べても良し、もちろん水菜も一緒に食べるのも良し。また油揚げと水菜という組み合わせは、それはそれで美味しくいただけます。春の華やかさが広がるひと品。筍はアク抜きなど何かと手間のかかる食材ですが、この美味しさのためなら、どんな手間をかけても、と思うから不思議です。ぜひご堪能を。
用意するもの(概略)
  • 新筍(小)5〜6本
  • 筍のあく抜き用のぬか適宜
  • 油揚げ2枚
  • 水菜100g
  • だし汁250cc
  • みりん20cc
  • 塩小さじ1.5
  • 醤油(たまり)小さじ1

一口メモ

●筍のアク抜きは面倒という方も少なくないかもしれません。大きな筍の場合、入る鍋自体が家庭にあるかどうか疑問ですし、竹串が通るまで茹でるにはかなりの時間がかかってしまいます。そこでさん生家では、圧力鍋を使ってアク抜きするのが常ですが、今回のようにベビーサイズの筍を扱うときは、普通の鍋で十分。竹串が通るまでそれほど時間がかかりませんし、サイズが小さい分扱いやすく、また柔らかいので包丁も入りやすいので、思ったよりも簡単にアク抜きが済ませられます。筍が本当に美味しい時期はあっという間に過ぎてしまいます。この時期ならではの味を、ぜひ味わってみてください。

作り方
  1. 新筍は先を斜めに少し切り落とした後、縦に切れ目を入れ、たっぷりの湯とぬかで茹でてアク抜きする。根元に竹串が通るようになったら火を止め、あら熱を取った後、水洗いして皮を剥き、2〜3時間水にさらしておく。
  2. 筍の固い部分を落として4/1に切る。
  3. 油揚げは食べやすい大きさに切り、たっぷりの水と共に鍋に入れて火にかけ、柔らかくなるまで(5〜8分ほど)茹でて油抜きをする。
  4. 油揚げの油抜きが終わったら、ザルにとって菜箸などで抑えて水気を切り、2の筍と共に鍋に入れ、だし汁250ccを加えて中火にかける。
  5. 4が沸騰してきたらみりん20ccを加えてさらに沸騰させ、さらに塩小さじ1.5、醤油小さじ1を加え、落としぶたをして弱火で10〜15分ほど煮込む。
  6. 水菜は熱湯で色よく茹でて、5〜6センチの長さに切りそろえ、良く水を絞っておく。
  7. 煮上がった筍と油揚げを器に盛り、水菜を添え、水菜の方から汁をかけるように入れれば出来上がり。

※調味料の分量は、お使いの製品によって塩分や甘みに相当違いがありますので、ご家庭でお使いのものに合わせて調節してください。表示してある分量はあくまでも目安です。

一口メモPart2

●油揚げの油抜きはちょっと時間をかけてやった方が美味しく仕上がります。最初は固い感じのする油揚げが、茹でているうちにふっくらしてきます。こうして十分に茹でると味の染みが良くなり、また上品な仕上がりになります。味付けは筍とのいろを生かすために塩を使いましたが、泡口醤油などでも結構です。また、醤油はたまりを使用しました。通常のお醤油よりやや甘味が強い醤油です。通常のお醤油をお使いの方は、塩の分量も良く考えて味付けしてください。なお、最後に汁をもりますが、このとき、味のついていない水菜の方から汁をかけるのが、美味しく仕上げるコツ。お忘れなく。

※このレシピは『柳家さん生公式サイト・さん生さんちの台所』の中にある、「今週のおもてなし料理」のコーナーで紹介された料理を詳しく紹介したものです。無断転載などはかたくお断りいたします。ご意見、ご希望、ご質問などがございましたら、メールにてお知らせください。(調理とレシピ=杉江保枝)
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