器:杉江保枝

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DATE:
2005.02.25

『鶏しんじょ』

●親子丼で有名な『鳥つね・自然洞』。でもこの店の名物はそれだけではありません。鶏のしんじょ揚げはさん生の大好物。それと同じもの、とまでは行きませんが、近いものを自宅で作ってみようとトライしました。さすがに本物にはかないませんが、そこはあくまでさん生家風。当台所の味としてはとても美味しくできたのではないかと自負しております。写真は一見コロッケ風ですが、大きさは親指程度の一口サイズ。軽く塩をつけていただくと、これが程良い酒のつまみになります。魅力は何と言ってもプリプリっとした舌触り。上品だけど、どこか庶民的な味が食欲をそそります。ぜひ一度お試しください。
用意するもの(概略)
  • 鶏挽肉270g
  • 玉ネギ1/4個
  • 玉子1個
  • 山芋のすり下ろしたもの15g
  • 生姜の絞り汁少々
  • 片栗粉少々
  • 塩小さじ1/2
  • 鶏スープ大さじ1
  • パン粉
  • 揚げ油

一口メモ

●パン粉をつけて揚げますが、タネ自体に粘着力がありますので、改めて溶き卵などをつける必要はありません。鶏の挽肉には脂分が少なく、それだけではぱさぱさした揚げ上がりになりますので、鶏スープを加えてみました。鶏のスープは市販の顆粒スープを湯で溶いたものでも結構ですし、『鶏皮三種』の項で紹介した、皮をゆでたゆで汁などを利用するとより一層美味しく出来上がります。山芋のすり下ろしが15gと少量ですが、入れすぎるとややえぐみが気になり、出来上がりも今ひとつ。あくまでもつなぎとしての山芋ですので、分量には気をつけてください。また玉ネギはなるべく細かく。片栗粉をまぶすのは水分を取るのと、プルンとした舌触りを楽しむため。丁寧に作れば作るほど、プリプリした美味しい鶏しんじょに仕上がります。

作り方
  1. 玉ネギはみじん切りにした後、片栗粉少々をまぶしつけておく。
  2. すり鉢に鶏挽肉、玉子、生姜の絞り汁、塩を入れ、よくすり混ぜる。全体がよくなじんで、やや粘りけが出てきたら、鶏スープと山芋のすり下ろしを加えてさらにすり混ぜる。最後に1の玉ネギを入れ、翌混ぜたらしんじょだねの出来上がり。
  3. パン粉を敷いたバットに2のネタを落とす。ティースプーン2本を使って親指よりやや大きめの俵型を作りながら適当に間隔を置いて落としていき、ある程度の数になったら形を整えながら全体にパン粉をまぶし、中温の油で色よく揚げたら出来上がり。

※調味料の分量は、お使いの製品によって塩分や甘みに相当違いがありますので、ご家庭でお使いのものに合わせて調節してください。表示してある分量はあくまでも目安です。

一口メモPart2

●今回はお手軽に挽肉を使用しましたが、本当は包丁を使って肉を細かく切り刻み、さらに丹念に叩いて作るのが一番美味。例えばコロッケなどにも、そうして加工した肉を使うと信じられないくらい美味しく仕上がります。また、肉は細かく砕けば砕くほど表面積が大きくなるため、その分足が早くなります。特に鶏肉はすぐに傷みますから、調理の直前に挽くのがベスト。なるべく新鮮な挽肉を使いましょう。とは言え、肉屋さんの対面販売でもなければ、スーパーなどではなかなか新鮮な挽肉は手に入りません。そこでミンチミンサーがあるととても便利です。一般にはあまり馴染みのない調理器具ですが、一台持っているとどんな肉も簡単に挽肉に。豚でも牛でも固まりで買っておけば、いつでも挽肉に変身するわけですから重宝です。フードプロッセサーで代用も出来ますが、肉が細かくなりすぎて味が損なわれる場合が往々にしてあります。やはりある程度のつぶつぶを残してこそ、挽肉の醍醐味があるというもの。市販の挽肉もやや細かすぎるきらいがありますので、興味のある方はぜひ、ミンチミンサーを購入して使ってみてください。麻婆豆腐や肉団子、ハンバーグなどの挽肉料理が、驚くほど美味しくなります。ミンチミンサーは高価なものが多いのですが、カミソリで有名な貝印から、2000円前後のものが出ていますので問い合わせてみてください。

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