料理と器・杉江保枝

いわゆる鶏酢豚です。それって酢鶏ではないの? と突っ込みたくなる方もいらっしゃるでしょうが、とりあえず中間を取って、「新ごぼうと鶏肉の酢豚風」と名付けてみました。普通の鶏酢豚と違うのは、新ごぼうを加えてあるところ。香りと歯ごたえの良いごぼうは、鶏肉との相性はもちろんばっちり。和風でも洋風でも美味しい組み合わせですが、中華でもなかなかの名コンビぶりを発揮しております。酢豚を作るときは、材料を油で揚げるのがまず鉄則。特に豚肉は二度揚げするのがコツですが、そんなふうに本格中華を作るのは、家庭では大変なこと。特に私の家ではあまり揚げ物をしないので、大抵の場合、揚げ油が無駄になってしまいます。そこで今回は、やや多めのごま油をうまく使って、まず鶏を揚げ、ごぼうを揚げ、最後に残りの材料をさっと油通しして、油をうまく使いきり、なべをそのまま使用して調理するという方法を取りました。鶏は一度揚げですが、これで十分美味しく仕上がります。甘酸っぱいタレの中で、旨さをぎゅっと封じ込めた鶏肉が美味。そこに油通ししたことで適度に柔らかくなったごぼうが加わり、何ともいえないハーモニーを奏でます。腕に覚えのない方は、やや難しい料理ですが、出来上がりは馬鹿うまなので、ぜひお試しいただければと思います。
用意するもの(2〜3人前 概略)
新ごぼう 1本
鶏もも肉 150g
ピーマンと赤ピーマン 各1個ずつ
たまねぎ 1/2個
にんにく 1片
鶏もも肉の味付け用に
塩 小さじ1/2弱
胡椒 少々
紹興酒 小さじ2
小麦粉と片栗粉 各大さじ1
ごま油 大さじ3
水 250cc
顆粒鶏ガラスープ 大さじ1/2
三温糖 小さじ1
黒酢 大さじ1
しょう油 大さじ1
片栗粉 小さじ1.5〜2(同僚程度の水で溶く)
作り方
- 鶏肉は食べやすい大きさに切り分け、塩小さじ1/2弱と胡椒少々、紹興酒小さじ2をふりかけ、よく揉み込んでおく。
- ごぼうは洗って皮付きのまま乱切りにし、水にさらしておく。
- ピーマンと赤ピーマンはヘタと種を取り、食べやすい大きさ(2センチ角程度)に切る。
- たまねぎはくし形に切る。
- にんにくは薄くスライスしておく。
- 1の鶏肉に小麦粉大さじ1をふりかけ、全体を混ぜ合わせて表面についた水分を吸わせたあと、片栗粉大さじ1を全体にまぶしておく。
- 中華鍋を火にかけ、温めってきたところでごま油大さじ3を入れ、鍋肌全体になじませる。
- 中火で油の温度を上げていき、ほんのひとつまみの塩を入れてパチッと音がする程度の温度になったら、6で粉をまぶした鶏肉を揚げる。
- 油が高温にならないように注意しながら、片面がカリッとキツネ色になったら裏に返し、同じようにカリッとキツネ色になるまで揚げる。
- 鶏肉を揚げている間に、2で水にさらしておいたごぼうをキッチンペーパーを敷いたざるなどに取り、余分な水分を吸いとっておく。
- 鶏肉が揚がったら油から引き上げ、余分な脂分を切っておく。
- 油の温度を少し上げてからごぼうを入れる。ごぼうは、表面いうっすらいろがついてくるまで揚げる(大学芋を揚げるような感じ)。
- ごぼうを油から引き上げたら、残りの野菜(ピーマン、赤ピーマン、たまねぎ)を一気に油に投じ、炒めるような感じで油通しをし、一度鍋から引き上げて余分な脂分を切っておく。
- 野菜を揚げあがった時点で、油はほんの少しになっているので、引き続きこの鍋を利用して調理する。残った油ににんにくを入れて炒めた後、ごぼう、鶏肉の順で入れて軽く炒め、さらに残りの野菜も入れてさっと混ぜあわせたら、水250ccを入れる。
- 鍋が沸騰してきたら、顆粒の鶏ガラスープ大さじ1/2を入れ、お玉を使って全体を混ぜ合わせ、スープが溶けたら三温糖小さじ1、黒酢大さじ1、しょう油大さじ1の順番で入れて味を整え、最後に水溶き片栗粉でとろみをつければ出来上がり。
ポイント1
少ない油で調理するのがポイントです。わずか大さじ3の油で、揚げたり炒めたりをまかないます。普通のフライパンではそこが平らなので難しいのですが、中華鍋の場合はそこが窪んでいるため、これが可能になります。調理にはできれば中華鍋を使用してください。中華鍋がない場合は、油を多めに使用し、最後に野菜を引き上げた後、余分な油を取り除いてから改めて調理します。
ポイント2
鶏肉は紹興酒で味付けすることでとても柔らかくなりますが、その分、表面に水分をまとうことになるので、片栗粉だけをつけてあげるとかなりはねます。そこで小麦粉でまず水分を吸いとってコーテイィングを施し、それから片栗粉をつけて揚げます。揚げるときは中温で。高温の油でははねるのはもちろんですが、表面があまりカリッとならず、中身もベチャッとした仕上がりになってしまいます。このあとスープで煮ることを考えると、どうしてもカリッと仕上げたいところ。油が高温にならないよう、よくよく注意しながら、時間をかけてカリッと仕上げてください。
ポイント3
ごぼうは水分を良く吸いとってから油に入れましょう。油の温度は、鶏肉よりやや高め。いわゆる素揚げですが、大学芋のように表面がカリッとなってきますので、やや色づき始めたら油から引き上げるタイミング。全体を箸で混ぜあわせるようにして、満遍なく火が通るように揚げていきます。ごぼうを揚げた後、残った油でピーマンとたまねぎに油を通します。ほんの少量の油ですが、ここで油通しをすることで、ただ炒めるだけでは失われがちなシャッキリ感がきちんと残ります。
※調味料の分量は、お使いの製品によって塩分や甘みに相当違いがありますので、ご家庭でお使いのものに合わせて調節してください。表示してある分量はあくまでも目安です。
なお、通常このレシピで使用している調味料は次の通りです。
- [醤油(file291まで)] 和歌山県 湯浅 角長 手づくり醤油
- [醤油(file292以降)] 埼玉県 坂戸市 弓削多醤油 木桶仕込しょうゆ
- [みりん] 愛知県 九重味醂株式会社 本みりん九重櫻
- [塩] オーストラリア産オーガニック岩塩 500年前の塩
- [トマトケチャップ] 高知県 株式会社ケンショー(ソース工房)のトマトケチャップ
- [ごま油] 東京都 中落合 小野田製油所 玉締めごま油一番しぼり
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