料理と器・杉江保枝

自分で生ハムを作る、と言うと驚かれる方が多いのですが、意外と簡単にできてしまいます。生ハムは本来、塩漬けにした豚肉を低温で乾燥させて作ります。温度が高いと肉は腐ってしまいますから、湿度と気温が低い場所でしか作れません。年々高温多湿化している東京ではとても無理な話。それを可能にするのが、ピチットシート(製品名)という脱水シート。このシートと冷蔵庫を利用すれば、誰でも生ハムやパンチェッタを作ることができるのです。もちろん時間と根気は求められます。あとは美味しいものを食べようという執念が必要かも? 仕込んでから食べられるようになるまで約1カ月ほどかかりますが、ぜひ執念で作ってみてください。とっても美味しいですよ。なお、ピチットシートはこちらのサイトから購入できます。http://www.pichit.info/
用意するもの(概略)
豚肉(ロース)固まり 1キロ
塩 30g
砂糖 8g
胡椒 5g
ウィスキー適宜
作り方
- 塩・胡椒・砂糖・ナツメグは分量を量ってよく混ぜ合わせておく。
- 豚肉は余分な筋や脂を取り除いたあと、表面に金串で細かく穴をあけ、1のスパイス類を全体に揉み込みラップに包み、保存用の袋などに入れて冷蔵庫に2週間ほど寝かせておく。豚肉から水分が出てくるので、一日に一度上下をひっくり返して全体の味が均等になるようにすること。
- 2週間たったら冷蔵庫から取り出し、周りについているスパイス類を丁寧に洗い流したあと、流水で1時間半ほど塩抜きをする。桶になどに肉を入れ、こぼれるまで水を注いだら、あとは蛇口から細く水を流し続けるが、水が直接肉に当たると、その部分だけ味が薄くなるので、肉に流水が当たらないようにすること。
- 塩抜きが終わったら桶から取り出し、キッチンペーパーなどで余分な水分を丁寧に拭き取り、ピチットシート(スーパー)に包んでラップをし、冷蔵庫で熟成させる。最初の数日は一日に一度シートを取り替え、シートがあまり水を吸わなくなってきたら、2〜3日に一度の割合で取り替えるようにして熟成させる。熟成が進むと表面に白いカビが浮いてくるので、そうなったらウィスキーで表面を拭き取ってからシートに包み直す。
- 2週間ほどたったら食べ頃に。さらに熟成させても良い。好みの硬さのところでスライスして冷凍しておけば、いつでも自然解凍して楽しめる。
ポイント1
塩はなるべく岩塩を使った方が美味しくできあがります。肉料理ということもありますが、そもそも乾燥した高原地方で作られる料理ですから、海の塩より岩塩の方が向いていると言えます。スパイスには好みでナツメグなどを入れても構いませんが、何度か試してみた感じでは、あまり多くの種類のスパイスを使用するより、塩と胡椒のみの方が美味しいような気がします。胡椒はホワイトペッパーを使えば色づきはきれいですが、ブラックペッパーの方が香りが良く出ます。これもお好みでいいと思います。調味料をすり込む前に、豚の表面に穴をあけて味の馴染みをよくします。すり込む際は、調理台の上にラップを広めに敷き、そこに豚肉を置いてすり込むようにし、下のラップで直接包み込んでしまえば、調味料が無駄になりません。冷蔵庫で寝かせている間は、上下をひっくり返して味を均等にするのをお忘れなく。
ポイント2
レシピにもある通り、熟成が進むにつれて表面に白いカビが浮いてきます。カビと言ってもくさっているわけではなく、あくまでも熟成の結果。これはウィスキーで拭き取ります。ウィスキーで拭き取ることでほのかな香りがつき、さらにうま味が増します。白カビが浮いてきたら「しめた」と思った方がいいかも。ピチットで乾燥を始めてから約2週間で食べられるようになりますが、さらに熟成を進ませても結構です。最長で3カ月熟成させたことがありますが、そうなると塩分もほどよく抜けるので、減塩を目指す方にはおすすめ。ただ、ハム自体は熟成が進めば進むほど固くなるので要注意。ときどき端っこを切り取って固さと熟成度合いを確認し、好みのところで仕上げてください。できあがった生ハムは、スライスしてから小分けにして冷凍するのがおすすめ。食べきりサイズにしておいて、自然解凍して楽しみます。なお、写真は約3週間ほど熟成させたものです。
※調味料の分量は、お使いの製品によって塩分や甘みに相当違いがありますので、ご家庭でお使いのものに合わせて調節してください。表示してある分量はあくまでも目安です。
なお、通常このレシピで使用している調味料は次の通りです。
- [醤油] 和歌山県 湯浅 角長 手づくり醤油
- [塩] オーストラリア産オーガニック岩塩 500年前の塩
- [トマトケチャップ] 高知県 株式会社ケンショー(ソース工房)のトマトケチャップ
- [ごま油] 東京都 中落合 小野田製油所 玉締めごま油一番しぼり
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