料理と器・杉江保枝
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自分で生ハムを作る、と言うと驚かれる方が多いのですが、意外と簡単にできてしまいます。生ハムは本来、塩漬けにした豚肉を低温で乾燥させて作ります。温度が高いと肉は腐ってしまいますから、湿度と気温が低い場所でしか作れません。年々高温多湿化している東京ではとても無理な話。それを可能にするのが、ピチットシート(製品名)という脱水シート。このシートと冷蔵庫を利用すれば、誰でも生ハムやパンチェッタを作ることができるのです。もちろん時間と根気は求められます。あとは美味しいものを食べようという執念が必要かも? 仕込んでから食べられるようになるまで約1カ月ほどかかりますが、ぜひ執念で作ってみてください。とっても美味しいですよ。なお、ピチットシートはこちらのサイトから購入できます。http://www.pichit.info/
用意するもの(概略)
豚肉(ロース)固まり 1キロ
塩 30g
砂糖 8g
胡椒 5g
ウィスキー適宜
作り方
ポイント1
塩はなるべく岩塩を使った方が美味しくできあがります。肉料理ということもありますが、そもそも乾燥した高原地方で作られる料理ですから、海の塩より岩塩の方が向いていると言えます。スパイスには好みでナツメグなどを入れても構いませんが、何度か試してみた感じでは、あまり多くの種類のスパイスを使用するより、塩と胡椒のみの方が美味しいような気がします。胡椒はホワイトペッパーを使えば色づきはきれいですが、ブラックペッパーの方が香りが良く出ます。これもお好みでいいと思います。調味料をすり込む前に、豚の表面に穴をあけて味の馴染みをよくします。すり込む際は、調理台の上にラップを広めに敷き、そこに豚肉を置いてすり込むようにし、下のラップで直接包み込んでしまえば、調味料が無駄になりません。冷蔵庫で寝かせている間は、上下をひっくり返して味を均等にするのをお忘れなく。
ポイント2
レシピにもある通り、熟成が進むにつれて表面に白いカビが浮いてきます。カビと言ってもくさっているわけではなく、あくまでも熟成の結果。これはウィスキーで拭き取ります。ウィスキーで拭き取ることでほのかな香りがつき、さらにうま味が増します。白カビが浮いてきたら「しめた」と思った方がいいかも。ピチットで乾燥を始めてから約2週間で食べられるようになりますが、さらに熟成を進ませても結構です。最長で3カ月熟成させたことがありますが、そうなると塩分もほどよく抜けるので、減塩を目指す方にはおすすめ。ただ、ハム自体は熟成が進めば進むほど固くなるので要注意。ときどき端っこを切り取って固さと熟成度合いを確認し、好みのところで仕上げてください。できあがった生ハムは、スライスしてから小分けにして冷凍するのがおすすめ。食べきりサイズにしておいて、自然解凍して楽しみます。なお、写真は約3週間ほど熟成させたものです。
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